病院の遺伝子検査とキットはどう違う? 内容・費用を比較

最近話題の「遺伝子検査」。 “病院”か“遺伝検査キット”で受けることができますが、この2つは何が違うのでしょうか?

それは「医療行為か否か」。検査を受ける目的によって、病院で行った方がいいのか、キットの方がいいのかも変わります。今回は“病院”と、遺伝子キットを代表して“マイコード”を比べ、どんな人が向いているのか、また内容や費用についてお伝えします。

 

病院は医療行為の“遺伝子検査”、キットは予防目的の“DTC遺伝子検査”

大日本住友製薬の医療関係者向けのサイトによると「病院で行う遺伝子検査」と「キットで行う遺伝子検査」(マイコードなど“DTC遺伝子検査”のこと)は以下のように説明されています。

「医療としての遺伝子検査は、単一遺伝子疾患等科学的根拠が確率されている遺伝子検査を用いて『診断』等を行う医療行為」
「DTC遺伝子検査は、遺伝要因だけでなく、通常の癌や高血圧、糖尿病、肥満など多数の要因が絡んだ多因子疾患について、統計データと検査結果とを比較し、リスクや体質などの傾向について調べるもの」

つまり遺伝子を調べて病気になることが確実だったり、その可能性が高くなったりすることが分かれば「診断」となります。そのため病院で行う遺伝子検査は、医療行為。

しかし『マイコード』などは遺伝子の“型”を調べて「自分と同じ遺伝子型の人間の発症リスク」を出しています。特定疾患の発症を特定しているわけではなく「予防目的」に行われているため、医療行為には当たりません

ちなみに市販のキットはDTC遺伝子検査と呼ばれますが、DTCとはダイレクト・トゥ・コンシューマーの略で、病院などを通さない「消費者直接販売型」という意味です。

 

遺伝子検査で早期発見・適性治療へ

遺伝子検査を行っている病院のホームページを見ると「がん」や「難病」などの特定疾患に関する検査が多く見られます。例えば「がん」だと、一般的なPET検査では5㎜以下のがんや、がんの前段階の遺伝子異常を発見することができません。

しかし病院の遺伝子検査では、現在体の中で進行しているかもしれないがん細胞の痕跡や、血液中のがん細胞に関わる遺伝子の変化を調べることができます。遺伝子検査を行う赤坂AAクリニックの公式サイトには、

「がんになる前の超早期がんリスク評価を可能とし、がんを未然に予防するチャンスを与えてくれます。がん治療後においても『再発に向かっているのか』『改善されつつあるのか』、再発予防管理が可能となります」

とあります。また病後の経過だけでなく、横浜市立大学附属病院の公式サイトには、

「多数の遺伝以上を網羅的に解析することで、ご自身のがんに効果があると考えられる薬剤を見つけ出すことが目的です」

とあるようにがんの発症リスクから治療を受けた人の経過、適した治療法が分かるようです。

 

全国の大学病院を中心とした病院で実施

ではどんな病院で遺伝子検査を受けることができるのでしょうか。日本では各都道府県の大学病院を中心に、全国100以上の病院が遺伝子検査を行っています。気になった人はネットで“都道府県名”、“遺伝子検査”、“病院”と入れて検索してみてください。

検査は「臨床遺伝学センター」「遺伝子医療センター」「ゲノム医学センター」「がん遺伝子診療部」など、主に“遺伝”、“ゲノム”、“がん遺伝子”などの名称が付いた科で行われています。

美容系のクリニックなどで遺伝子検査が行われていることもありますが、実はその多くはDTC遺伝子検査。つまり市販の遺伝子検査キットなので、クリニックで検査を受けると割高になりますので覚えておきましょう。

病院だと100万円程度かかる場合も

気になるのは、やはり費用。『マイコード』が約1~3万円なのに対し、『病院』は数万からときには100万円程度かかってしまう場合も。数種類の遺伝性疾患・がん、抗がん剤の効きやすさ判定などの遺伝子検査には保険適用が認められていますが、保険適用外のものが多いからです。

しかし厚労省が2017年6月末、がんに関する遺伝子検査のひとつ「パネル検査」について、2018年度をめどに保険適用とする方針であることを発表している、という報道がありました。患者にとっては希望的なニュースではありますが、やはり費用面については事前にしっかり確認が必要ですね。

 

目的に合わせた検査方法を!

以上から、どんな人がそれぞれの『遺伝子検査』を受けているのかというと、予防に役立てるため「全般的な病気発症リスク、体質などを知りたい人」『マイコード』「自分/家族の病気は遺伝性かもしれない」と心配している人特定疾患の早期発見、治療目的のために使用する人は『病院の遺伝子検査』ということでしょうか。 自分の目的にあわせて、遺伝子検査の方法を選んでくださいね。