遺伝子検査でわかることは? 気になる精度や信頼性も

最近、電車やネットの広告でよく見かける「遺伝子検査」。ちょっとSFチックにも思えてしまうこの検査に、興味を持っている人も少なくはないはず。

でも実際、遺伝子検査で何が分かるのでしょうか。今回は遺伝子検査で分かること、精度や信頼性などについてお伝えします。

 

病気リスクから体質、自分のルーツや才能まで分かる!

まず「遺伝子検査」とは、唾液や血液からDNAを採取して、自分の遺伝子タイプを調べるというもの。ここから、大きく分けて「病気の発症リスク」「体質」「ルーツ」「性格・才能」の4つが分かります。

その1 病気の発症リスク

分かることのひとつに「病気の発症リスク」があります。これは自分の持つ遺伝子型が“日本人の平均”と比べて、どれくらい発症しやすいかが分かるというもの。

分かる病気の項目は各社・各検査によって異なりますが、やはり「ガン」についての検査は注目度が高いようです。例えばDeNAが運営するマイコードの遺伝子検査だと、胃がん、肝臓がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、子宮頸がんなど38項目の発症リスクが分かります。

ガンの他にマイコードで分かる病気の系統は以下の通り。「生活習慣病」や「アレルギー」に関する発症リスクが分かるのも魅力的ですよね。

  • ガン以外の疾患リスク項目
系統 疾患 項目数
消化器・泌尿器 十二指腸潰瘍、末期腎不全、尿路結石症など 19
心臓・循環器 心筋梗塞、脳梗塞、高血圧など 15
内分泌・代謝 糖尿病、甲状腺機能低下症、脂質異常症など 12
骨・関節 骨粗しょう症、関節リウマチ、通風など 14
皮膚 アトピー性皮膚炎、ケロイド、尋常性白斑 3
目・耳 強度近視、正常眼圧緑内障、耳硬化症など 14
生殖器 子宮内膜症、子宮筋腫、非閉塞性無精子症など 4
肺・呼吸器 喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など 4
脳・神経 アルツハイマー病、パーキンソン病、偏頭痛 14
その他 アルコール依存症、歯周病、円形脱毛症など 16

また「うちは〇〇家系だから」という言葉を耳にしたことはありませんか? たしかに親類にガンや糖尿など、特定疾患の患者が多いと、「将来的に自分もそうなってしまうのかもしれない」と心配になってしまいます。

だからこそ発症リスクを確かめて、生活習慣改善に努めることができます。遺伝子検査で病気の発症リスクを知ることが病気発症を抑える”予防”になり得うるのです。

 

その2 体質

遺伝子検査をすると、体形や髪の毛などの外見的な遺伝傾向から、近視になりやすいか否かという「目の機能」、お酒を好んで飲むようになるか否かという「飲酒傾向」などという目に見えない部分の遺伝傾向まで分かります。

そんな中、体質の遺伝子検査でよくパッケージングされているのは「ダイエット」や「メタボ」、「肌」に関するもの。

例えば「ダイエット」に関するものだと、肥満遺伝子から自分がどのような太り方をするタイプなのかを分類します。そしてそのタイプに適したダイエット方法を提案してもらえるものが多いので、「ダイエットしているけど失敗続き」という人には救世主となる検査かもしれません。このように自分の目的にあったパッケージで、ぜひ対策を立ててみてください。

 

その3 自分のルーツ

「自分のルーツ」というと漠然とした自分探しのように思われるかもしれませんが、ここで分かるのは「祖先の遺伝子型」。祖先を複数のグループにわけ、その中で自分の遺伝子がどれにあたるか判別する、ということ。たとえば

「最初に日本にやってきた、最古の日本人グループ」
「中国文明を築いた漢民族と関係が深いと考えられるグループ」
「シベリアのマンモスハンターの末裔と考えられるグループ」

など、見ているだけでワクワクする内容ですよね。この先祖の遺伝的傾向から「アルコールによる顔の赤くなりやすさ」「そばかすのできやすさ」「虫歯のなりやすさ」などの特徴も分かります。

 

その4 性格・才能

びっくりするのが正確や才能まで分かってしまうということ。たとえばエディンバラ大学の研究で、持っていると打たれ弱くなってしまう遺伝子型が見つかりました。「自分って打たれ弱いなあ」と思う人は、遺伝子の影響を受けている可能性もあります。

他にも「落ち込みやすさ」「誠実さ」「粘り強さ」などの性格面や、「記憶力」「音感」「リスニング力」などの才能まで分かってしまうのだとか……。怖いけど、ちょっと知ってみたいですよね。

 

遺伝子検査でわかることは、現在の遺伝学で分かる範囲のみ

遺伝子検査で分かることは「〇〇になりやすい遺伝子を持っている」ということではなく、「〇〇になりやすい遺伝子を持っている人が多いグループと同じ遺伝子型を持っている」ということ。だからその遺伝子型を持っていたとしても、100%そうなるわけではありません。

その点を理解していただいた上で遺伝子検査の精度についてお伝えすると、遺伝子は死ぬまで変化することはないとされています。しかし検査結果の指標は変わっていきます

例えば今現在、ある病気は“3つの遺伝子”を参考にして発症リスクを出しているとします。しかし今後”4つ目の遺伝子”が発見されるかもしれません。そうなると結果は変わりますよね。

認定を受けている遺伝子検査をオススメ!

しかし先述の通り「遺伝子型はほぼ変わらない」ですし、指標が変わるといっても遺伝子検査はすべて研究論文をもとに結果が作成されています。

遺伝子検査には「CPIGI認定」というものがあり、健全・適切なサービスが提供されているか第三者機関が公平・中立的な観点で審査した上で認定されています。DeNAのマイコードやジーンライフなどの大手遺伝子検査は同認定を受けている所が多く、安全性が担保されていると言えそうです。

 

遺伝学で分かることを最大限に伝える「遺伝子検査」

この遺伝子検査で分かることは、現在の遺伝子学で分かっている範囲のみです。しかし検査後1年程度で結果が確認できなくなる他社サービスとは違い、マイコードの遺伝子検査は随時「指標」が更新されていく予定だとされています。つまりいつまでも自分の遺伝子型と最新の研究結果を照らし合わせることができる、ということなんですね。

遺伝子学まだまだ成長していく分野です。完璧に”完成”するのは何十年後か何百年後かは分かりません。結果に後々変更が出る可能性があるというのは、“最先端”の分野だから。一度試してみて、損はないのではないでしょうか。