「台風や地震、火災などで他人の家に損害を与えても、個人賠償責任保険で補償される」と思っていませんか?確かに、個人賠償責任保険は偶然の事故やトラブルによって他人のものを壊した場合に保険金がおりますが、それは自然災害にも当てはまるのかを今回は紹介します。
自然災害は基本的に個人賠償責任保険の対象外
台風や地震、水害や津波などの自然災害については、基本的に個人賠償責任保険では補償してくれません。
補償してくれないというよりは、そもそも「賠償責任がない」と言った方が正確かもしれません。自然災害がきっかけで他人の家に迷惑をかけても、賠償金を請求されることはないのです。
三井住友カードが提供する「ポケット保険」の個人賠償責任保険では、「地震もしくは噴火またはこれらを原因とする津波による損害」は保険金を支払わない主なケースとして紹介されています。
こんな自然災害は個人賠償責任保険で補償される?

原則として自然災害は個人賠償責任保険の対象外ですが、全てのケースにおいて厳格に適用されるわけではありません。ここでは自然災害で起こりうる損害について、個人賠償責任保険の対象かどうかを検証してみたいと思います。
ケース1:台風で自宅の瓦が飛んで隣家を傷つけた
台風が原因の損害については、通常個人に賠償責任が生じませんので、個人賠償責任保険の対象とならないのが一般的です。ただし、台風前から瓦が外れかけていたなど管理状態に不備があることが明らかな場合には賠償責任が発生して、個人賠償責任保険の対象となります。なお、台風による損害は火災保険でも補償可能です。
ケース2:地震で自宅のブロック塀が倒壊して隣家を傷つけた
地震が原因の損害についても個人に賠償責任が及ぶことはありませんので、個人賠償責任保険の対象とはなりません。ただし、ブロック塀に鉄筋が入っていない、周囲の家の塀は大丈夫なのに自分の家の塀だけ倒壊した場合は、施工不良や管理不備の可能性があるため、個人賠償責任保険の対象となる可能性があります。
地震保険でも補償できますが、地震保険は建物の主要構造部(母屋)の損害の程度に応じて補償度合いが決まるため、単にブロック塀だけが倒壊した場合には地震保険では補償されません。
ケース3:台風で自宅の木が倒れて隣家を傷つけた
瓦のような人工物だけでなく自宅の庭に生えた木などについても、台風が原因の損害は賠償責任がないため、個人賠償責任保険の対象とはなりません。ただし、倒木の原因が台風や暴風などの自然災害によるものであれば、火災保険の「風災、雹災、および雪害補償特約」によって補償されます。また、木の根っこが腐っていたなど管理責任が問われるようなケースでは、賠償責任が発生する可能性がありますので、個人賠償責任保険の出番となるかもしれません。
ケース4:自宅屋根からの落雪で隣家を傷つけた
屋根からの落雪の場合も同様で、自然災害が原因の損害は賠償責任がないため、個人賠償責任保険の対象とは基本的になりません。ただし、豪雪地帯にもかかわらず雪下ろしをしていなかった、雪止めを自宅に設置していなかったなど、対策を怠っていた場合には賠償責任が発生しますので、個人賠償責任保険が適用されます。
自然災害には火災保険や地震保険で備えよう
台風や地震などの自然災害は基本的に個人賠償責任保険で補償してくれない、というかそもそも賠償責任が生じません。加害者側の管理が十分でない場合などは、補償が認められる場合もありますが、あくまでも例外的な措置です。
万が一の自然災害による損害を手厚く補償したいのであれば、火災保険や地震保険に加入しておくのがいいでしょう。火災保険や地震保険に加入していれば、自分が加害者になった場合はもちろんのこと、被害者になった場合も使えるのですから。